慶應義塾の創立者である福沢諭吉先生が門下生に託した志がとても染み入る感銘的なものですので、ご紹介いたします。
慶應義塾の目的
福澤諭吉は学問を修める過程で、「智徳」とともに「気品」を重視し、社会の先導者にふさわしい人格形成を志しました。福澤が門下生たちにその志を託した「慶應義塾の目的」と呼ばれる一文があります。
「慶應義塾は単に一所の学塾として自から甘んずるを得ず。其目的は我日本国中に於ける気品の泉源、智徳の模範たらんことを期し、之を実際にしては居家、処世、立国の本旨を明にして、之を口に言ふのみにあらず、躬行実践、以て全社会の先導者たらんことを欲するものなり」
これは慶應義塾の真に目的とするところを最も簡明に言い表した一文として知られています。
独立自尊
「心身の独立を全うし、自らのその身を尊重して人たるの品位を辱めざるもの、之を独立自尊の人と云う」。自他の尊厳を守り、何事も自分の判断・責任のもとに行うことを意味する、慶應義塾の基本精神です。
実学
福澤がいう実学はすぐに役立つ学問ではなく、「科学(サイヤンス)」を指します。実証的に真理を解明し問題を解決していく科学的な姿勢が義塾伝統の「実学の精神」です。
気品の泉源
福澤は学問を修得していく過程で、「智徳」とともに「気品」を重視していました。人格を備えた社会の先導者となることが、義塾における教育の目標の一つです。
半学半教
教える者と学ぶ者との師弟の分を定めず、先に学んだ者が後で学ぼうとする者を教える。教員と学生も半分は教えて、半分は学び続ける存在という、草創期からの精神です。
自我作古
「我より古を作す(われよりいにしえをなす)」と訓み、前人未踏の新しい分野に挑戦し、たとえ困難や試練が待ち受けていても、それに耐えて開拓に当たるという、勇気と使命感を表した言葉で、義塾の信条となっています。
社中協力
社中は、学生・卒業生・教職員など、すべての義塾関係者の総称。塾の運営を経済的に支えている「慶應義塾維持会」など、社中の協力は義塾の誇るべき伝統です。
父、福澤百助
豊前国中津藩の大阪にあった蔵屋敷で下級藩士・福澤百助の子として生まれました。福澤百助は儒学者でもありました。福沢諭吉先生の志は父百助氏から受け継いだものかもしれませんね。
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