理科科目の塾での受講をいつからスタートするべきか?難しいですね。
物理を学び始める時期
時間ばかり長くても密度が濃くないと多くのものは得られません。
Q:高校2年生以前で物理が開講していないのはなぜでしょうか。
本格的な物理の勉強を開始する時期として、高校2年生からがちょうど良いのではないかと考えています。
それまでは部活や学校行事が忙しくなかなか理科の勉強にまで手が回らないのではないでしょうか。たとえ時間的な余裕があったとしても、高校1年生からではかえって長すぎるように思います。時間ばかりあっても密度が濃くないと多くのものは得られません。
それに、高校1年生までは、基幹科目である英語・数学・国語の土台を固めてほしいという思いもあります。高校2年生、3年生になって理科の学習にしっかりと時間をあてることができるのは、ある程度英語や数学、国語の学習が進んでいて、勉強方法も確立しているという方が多いように感じます。
また、数学的な素養が必要な部分があります。ただし、グノーブルの物理では難解な数学を使うことはほとんどありません。このあたりはかなり誤解されているところですが、微分積分を学んでいないと、物理が理解できないのではないかというお問い合わせを受けることがしばしばあります。
たしかに、物理を理解する上で微分や積分の概念は重要なものですが、計算していくために必要な技術という意味で重要だということではありません。積分とはどういうことなのか、微分とはどういうことなのかを理解することが大切なのであって、微積分の計算結果がどうであるとかいうのは二の次のことです。 例えば、私たちが地球上で暮らしているときに、地球の丸みは無視していますが、まさにこれが地球上の一点の周りで微分を見ているということになります。まっすぐな世界しか見ないということですね。そうすると、これは数学的に言えば1次関数として捉えるということですから、比例関係を正しく捉えることが必要だということになります。つまり基本的な比例関係がわかっているかどうかが、物理を学ぶ上で鍵になるということです。
とはいえ、そもそも微分や積分を知らなければ、物理でお話ししたときに実はそういうことだったのか、と感じにくいと思いますので、やはりひと通りの数学、特に文系範囲の数ⅠA・ⅡBに関しては既習であることが望ましいと思います。
受講前に身につけておきたいこと
身近なことが今学んでいる物理や数学と結びついた時の感動を経験することは、本当に大切です。
Q:物理を受講する前段階で身につけておきたいことはありますか。
勉強の点というよりも、日常的なちょっとした経験を大切にしてほしいと思います。 例えば、虫眼鏡で光を集めた経験がないと、「焦点」がなぜ焦げる点なのかは理解しづらく、理科用語として覚えるだけになってしまいます。実感してないものをいくら数式で証明しても、それに続く感動につながりにくいのです。 真っ暗な川辺に行って夜空に瞬く星座を見るとか、最近あまり見なくなってしまいましたが、公園の回旋塔で回って遠心力を感じたりする経験とか。科学者たちもそういうところから出発しているんです。
Q:興味を抱くきっかけとなる体験が大切だということですね。
はい。かつてたまたま飛行機好きの生徒が集まったクラスがあって、飛行機が飛ぶ理屈について、羽の周りで生じる空気の流れに関する話題で議論が盛り上がりました。興味のあることについて話している生徒を核にして、はじめはそうでもなかった周りの生徒たちも、なんだなんだというようになっていきますよね。
Q:先ほどのお話しにもあった気持ちに火がつく瞬間ですね。 科学博物館などによく置いてあるサイクロイドの斜面というものがあります。物体が最速で落下することができる斜面の形状のことですが、その性質についてちょっと話をしたらどういうことなのか数学的に証明してみたいという生徒たちが集まって、退館ぎりぎりの時間まで残って、黒板いっぱいに計算をしていたこともありました。 身近なことが今学んでいる物理や数学といったことと結びついたときの感動を経験するというのは、本当に大切だと思います。
これからグノーブルで学ぼうと考えている皆さんへ
すぐにわかることを求めるのではなく、わからないことを唸りながらも考える経験を積んでほしいと思います。
Q:最後に、これから学ぼうとする生徒へメッセージをお願いします。
グノーブルの物理では、受験に必要だからといって頭ごなしに知識を与えるようなことはしません。 そもそも、現実の事象、問題には必ずしも明快な答えがあるわけではありません。そのことを生徒には物理という学問を通じて理解していただきたいと思うのです。将来皆さんが目の当たりにする問題も同じように正解がひとつではない問題が多いはずだと思います。
しかし現実には、ひとまずあるひとつの解決を導かなければなりません。このようなときに、前提とするものは何なのか、問題の要素は何なのか、様々な側面から検討しながら問題を解決していく過程で、物理的思考が役立っていくのです。
さらには、ガリレオが持ったように、世間的に最適解に達していると思われることに対しても問題意識を持つことは大切です。誰もが当然と思っている中で、「いや、しかしそこには問題があるのだ」と捉える問題抽出力は、今の社会で最も必要とされる力のひとつでしょう。
ですから、グノーブルで物理を学ぶことで、すぐにわかることを求めるのではなく、わからないことを唸りながらも考える経験を積んでほしいと思います。そして、その過程を楽しめる力を持ってほしいですね。
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