東大法学部とは

東大

法学部の最高峰、東大法学部。

教育研究目的

専攻課程・学部教育・研究の目的
総合法政専攻博士課程法学・政治学の分野において、理論的・歴史的な視野に立って精深な学識を養い、専門分野における独自かつ高度な研究及び応用の能力を培うことを目的とする。
総合法政専攻修士課程法学・政治学の分野において、理論的・歴史的な視野に立って精深な学識を養い、専門分野における研究及び応用の能力を培うことを目的とする。
法曹養成専攻社会に貢献する高い志と強い責任感・倫理観を持ち、先端的法分野や国際的法分野でも活躍しうる、優れた法律実務家を養成することを目的とする。
法学部法学と政治学を中核とした教育研究を通じて、幅広い視野をそなえ、法的思考と政治学的識見の基礎を身に付けた人材を養成することを目的とする。

大澤法学部長のコメント

東京大学大学院法学政治学研究科・法学部(以下、「本研究科・学部」といいます)は、その歩みを辿れば、1877年に遡ります。この年、東京開成学校(法文理の3学部)と東京医学校(医学部)との合併により東京大学が創立され、その学部の1つとして、法学部が設置されました。以来、折々に組織の手直しはありますが、一貫して、日本の法学・政治学の研究・教育をリードし、司法、行政、政治、経済、言論報道、学問研究等、幅広く各界に有為の人材を送り出してきました。法学・政治学の分野において、日本で最も由緒のある、そして最大級の研究・教育機関です。

このような歴史と伝統、それによって培われた人的ネットワークと社会的評価は、本研究科・学部の貴重な財産です。それとともに、本研究科・学部は、時代の変化を敏感に受け止め、絶えずそのあり方の見直しを図ってきました。「平成」という直近の時代に限っても、次に掲げる例に代表されるような様々な改革に取り組んできています。

まず、平成の開始から間もなくの大改革として、1991年(平成3年)には、これまで法学部に設置されていた講座を大学院法学政治学研究科に移すことにより、大学院を名実ともに「研究・教育一体の組織」とする「大学院重点化」を敢行しました。学部と大学院の関係は、学部に所属する教員が大学院を兼担する仕組みから、大学院に所属する教員が学部を兼担する仕組みへと改められました。

次いで、平成の半ばに当たる2004年(平成16年)には、司法制度改革の流れを受けた改革として、大学院に法曹養成専攻(法科大学院)を新設し、大学院の組織を、従来からの研究者養成を中心的な使命とする総合法政専攻と、新たに設置された法律実務家の養成に当たる法曹養成専攻との2専攻制に改めました。

さらに、平成も終わりに近づいた2017年(平成29年)には、学部おいて、社会の国際化と学生の進路の多様化への対応として、コース制とカリキュラムを大幅に改めました。従来の「第1類(私法コース)」「第2類(公法コース)」「第3類(政治コース)」というコース区分を、「第1類(法学総合コース)」「第2類(法律プロフェッションコース)」「第3類(政治コース)」へと組み替えるとともに、卒業単位と必修科目の削減により、学生の主体性・自主性をより重視した、様々なチャレンジ(留学等)がしやすいカリキュラムとし、合わせて、「外国語科目」というカテゴリーの新設(第1類で一定単位取得を卒業要件化)、「リサーチペイパー」の新設(第3類で卒業要件化)等を行いました。2018年度の進学者からは、長期化する高等教育の現状を踏まえ、学部における早期(3年次)卒業の制度も導入しました。

また、同じ2017年には、大学院においても、新たに「先端ビジネスロー・プログラム」を開始しました。主として、近時の急速な技術革新の成果を社会実装する上での法的・政治的問題を、理論と実務との密接な連携のもと、理系研究科とも連携し、文理の枠を超えた総合的視野から研究・教育しようとする試みであり、東京大学が全学的に取り組む「国際卓越大学院教育プログラム(WINGS)」の1つとされています。

本研究科・学部の強みの1つは、70名を超える教授・准教授を擁し、その誰もが法学・政治学の最先端の研究に従事し、その成果を生かした教育を展開していることです。70名超という規模の大きさは、教授・准教授の専門領域の多様性と結びついています。現代日本の法・政治の各分野は勿論、諸外国の法・政治、法・政治の歴史、哲学、思想等の分野も広くカバーしています。また、豊かな実務経験をバックグラウンドとし、理論と実務を架橋する研究・教育を展開している教員も存在します。このように多様な専門分野に亘る質・量ともに充実した教授・准教授陣を擁することは、多面的なものの見方を養成する教育を可能とし、また、現代社会の問題に多方向から光を照射し、問題を深くその本質まで追究することを可能としています。

また、当研究科・学部にとって、東京大学という日本において最高水準の研究・教育を展開している総合大学の一部局であることもまた、その強みといえます。現代社会の最先端で生じる複雑な問題は、しばしば法学・政治学の枠を超え、理系を含めた分野を横断した広がりを持ちます。デジタル革命と呼ばれる技術革新の問題はその代表例です。本研究科・学部が、東京大学の一部局であることは、最高水準の分野横断・融合型の研究・教育が可能であることを意味します。前述した「先端ビジネスロー国際卓越大学院教育プログラム」は、そのような研究・教育の実践例です。

当研究科・学部の強みは、他にも多数存在します。法学・政治学の専門図書館として世界屈指のコレクションを誇る法学部研究室図書室と、明治・大正期の日本で刊行された新聞・雑誌の国内最大のコレクションを有する近代日本法政史料センター(明治新聞雑誌文庫)の存在もその代表例です。今後とも、そのような強みを最大限に生かした研究・教育の展開に努めていくことをお約束して、研究科長・学部長としての挨拶といたします。

法学部の起源は、1872年(明治5年)7月司法省設置の「法学校」と、1873年(明治6年)4月文部省設置の「開成学校法学科」に求められます。その後、1877年(明治10年)4月に「東京大学」が創設され、そこに「法学部」が置かれました。そして、1885年(明治18年)に、司法省の「法学校」の後身である「東京法学校」と、「東京大学文学部政治学及理財学科」とが、あいついで法学部に合併され、ほぼ原型が確定しました。以後、今日まで、様々な組織的変更を経て今日の法学部に至っていますが、一貫して日本における法学・政治学研究の中心として機能し、そのことに裏打ちされた高度な教育によって、外国人を含む多数の優れた人材を育成し、司法・行政・政治・経済・言論報道、そして学問等の各界に卒業生を送り出してきました。卒業生は6万人を超えています。

法学部の教育の目指すもの

法学部では、法学だけでなく、それと政治学とが対をなすものとして研究され、教育されています。それは、近代社会においては、法と政治は、ともに不可欠であるだけでなく、政治が法を定め、実現し、そして、法が政治を形づくり、導くという意味で、両者は、相互に支えあう関係にあって、分かちがたく結びついているからです。
 法学部では、司法・行政・立法という、巨大にして複雑な、そして人々の生活・人生・生命に直接関わる重大な現象を、多種多様な角度から学びます。そして、学生は、法的思考や政治学的識見の基礎を、自らのものとすることが期待されています。法学部というと、法律家の養成のための学部というイメージがあるかもしれませんが、本学部の卒業生の進路は多様ですし、また、法律家を目指す学生についても、そのために、狭い意味での法学のみをひたすら学習させるようなことは、本学部の教育の目指すところではありません。
 法学部では、このような理念に対応して、履修可能な科目が展開され、卒業に必要な単位数が定められています。学生は、中核的な科目については、必ず体系的に履修しなければなりませんが、それ以外は、法学、政治学を中心に、多彩に用意された科目の中から、自分の関心・進路の志望によって自由に選択し、個性的に自分の力を伸ばしていくことが可能となっていますし、また、それが期待されているのです。
 この理念を支えるものの一つとして、法学・政治学の専門図書館としては世界屈指のコレクションを有する図書室が置かれており、蔵書数は約82万冊、その過半数は洋書です。(法学部研究室図書室については、こちらをご覧ください。)

法学部には、原則として、教養学部文科一類の学生が進学します。他の科類の学生も、教養学部での成績順に、50名程度、法学部に進学する道が開かれています。ただし、例年、希望者が多数に上るため、進学には極めて高い成績を要するのが通例です。
法学部には、第1類(法学総合コース)、第2類(法律プロフェッション・コース)、第3類(政治コース)の3つの類が置かれており、学生は、その希望に応じて、いずれかの類に所属します。類ごとに、必修科目、選択必修科目が異なっていますが、しかし、法学部の類は、他学部の学科のように高い障壁で区切られたものではなく、履修の仕方により、どの類にいても、内容上、かなり似た学習ができるようになっています。また、将来の大学院進学や就職についても、若干の対応関係があるにとどまり、どの方向に進むにしても、それほど大きな支障はありません。
法学部に進学した学生は、2年の修業年限を終え、所定の科目の定期試験に合格し、必要な単位数を取得したときに卒業を認められます。1年または1年半で修業を終え卒業する早期卒業制度も用意されています。卒業後の進路は、多方面にわたっています。(これまでの進路状況については、こちらをご覧ください。)

<法学部の在学生・卒業生の状況>

進学振分定員420名
在学生数(2020年4月1日現在)
3年生
4年生
合計
 407名
548名
955名
卒業生数(2019年度)358名

  <法学部卒業生の進路>

卒業生数(2019年度)358名
東大・他大学大学院等15名
東大・他大学法科大学院57名
公務員43名
民間企業85名
その他30名
※未回収分128名

 ※新型コロナ感染拡大防止対策の一環により、2019年度卒業式が中止となったため、未回収分が多数発生した。

法学部の授業科目は、科目の性質・関係等を考慮して、段階的な履修が無理なく進んでいくように2年次から4年次に配置されています。このほか、少人数で一つの机を囲み、特定の資料や課題をめぐって報告し、討論する演習と、特定の先端的な課題について講義する特別講義が、毎年相当数開講されます。
今年度の授業時間割・年間授業計画については、こちらを参照してください。
各授業の詳細については、東京大学授業カタログ を参照してください。

法学部では、第1類(法学総合コース)の学生を対象に「公共法務プログラム」、「国際取引法務プログラム」の2つのプログラムを設けています。

「公共法務プログラム」は主に公務員を目指す学生のためのプログラム、「国際取引法務プログラム」は主に国際的ビジネスやマネージメントを目指す学生のためのプログラムです。

また、法学部では類を問わず全法学部生を対象として「法科大学院進学プログラム」を設けています。

法学部では東京大学法科大学院(法曹養成専攻)と法曹養成連携協定を締結しており、このプログラムは、法科大学院への進学を目指す学生のためのものです。

法学部の授業は、主に、講義と演習との2つによります。講義は、様々な規模の教室で、教員が語りかけるというのが基本です。
講義に加えて、ほぼすべての教授・准教授が、毎年、趣向を凝らした多種多様な演習を開講しており、学生は、どの類に属するかに関わりなく、その中から関心のある演習を選択して履修することができます。演習は、その主題について、教員や友人と対話しつつ深く学ぶ機会であり、同時に文献を精読し、自ら調査し、発表し、質問し、回答し、議論するといった能力を磨く機会でもあります。演習が持つこのような利点をふまえて、法学部では、法学部に所属する間に、最低1つの演習に参加することを必須としています。

また、指導教員の指導を受けながら、法学・政治学の特定科目の特定のテーマについて小論文を執筆するリサーチペイパーの制度があり、第3類(政治コース)の学生は必修となっています。

法学部のカリキュラムと授業内容の密度は高いうえに、定期試験の実施と採点は極めて厳格に行われます。その意味では、法学部の学生生活は相当に厳しいものであることは間違いありません。そのような環境の中で、一般的にいえば、学生の勉学意欲は高く、講義や演習に積極的に出席することはもちろん、自主的に勉強会を組織している例も少なくないようです。法学部としても、成績の優秀な学生を表彰する制度を設けています。
法学部には、学部内の組織として、学習相談室が設置されています。同相談室は、法学部大学院出身の学習相談員と、公認心理師・臨床心理士等の資格を持つ心理カウンセラーとが互いに協力し、法学部学生の学習面の相談から、将来の進路や日常生活上の悩みに至るまで、幅広く相談に応じています。こうした恒常的な活動に加えて、毎年、本学の卒業生を招いての進路選択講演会や、大学院生による学習セミナーを開催しています。
また、法学部には、法学部学生を普通会員、教員を特別会員とする緑会という組織があります。緑会は、学生生活の向上のための日常的な業務に加え、官庁による講演会の企画等の活動をしています。

法学部入学案内

法学部では学部紹介パンフレット「法学部入学案内」を作成しています。東京大学法学部に
入進学を考えている方々にぜひご一読いただき、ご自身の進路を考えるうえでの参考にして
いただければ幸いです。

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